駅をこしらえるのと同じことよ。もしそれが仮にも大事な意味や目的を持つものごとであるなら、ちょっとした過ちで全然駄目になったり、そっくり宙に消えたりすることはない。たとえ完全なものではなくても、駅はまず作られなくてはならない。そうでしょう?駅がなければ、電車はそこに停まれないんだから。そして大事な人を迎えることもできないんだから。もしそこに何か不具合が見つかれば、必要に応じてあとで手直ししていけばいいのよ。まず駅をこしらえなさい。彼女のための特別な駅を。用事がなくても電車が思わず停まりたくなるような駅を。そういう駅を頭に想い浮かべ、そこに具体的な色と形を与えるのよ。そして君の名前を釘で土台に刻み、命を吹き込むの。君にはそれだけの力が具わっている。だって夜の冷たい海を一人で泳ぎ切れたんだから。
村上春樹 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」より
熱烈な村上春樹ファン
…というわけではないけれど
もう少し
ブームがおさまったら
手に入れて
読んでみたいなあ
…と思っていた本。
思いかげず
Gさんが貸してくれました。
Gさん、いつもありがとう .*:・'゜☆。.:*:・
ときどき、
本に呼ばれることがある。
たとえば
本やさんで。
図書館で。
誰かに手渡されるというかたちで。
たとえ
題名も内容も知らなくても
作者が誰だかわからなくても
まるで
催眠術にかかったみたいに
その本を手に取らずにいられなくなることがある。
そこには
ときには
本の内容とさえ関係なく
自分のなかで
言葉にできず
蠢いていたことに対する
答えのような
イメージが
キーワードが
光るようにあざやかに
示されていて
思わず
鳥肌がたってしまう。
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